2018-01-09 機材発掘&調査打ち合わせ

 ゲストハウスでぐっすり眠って、今日は朝から作業開始。まずは前回の調査で置いて行った機材の回収と状態確認です。倉庫のカギを開けてもらい鼻から下をタオルで覆っていざ発掘へ。室内は段ボール箱と埃と虫と、ヤモリとヤモリの糞まみれです。まずは段ボール箱を片っ端から廊下に出して検分していきます。

 10年も前の荷物なのでさすがにすべて散逸していると思っていたのですが、記憶にある段ボールが沢山見つかりました。ほとんどは封も解かれていません、律儀に保管し続けてくれたようです。感謝しつつ開封して中身をチェックします。残念ながら、紙類はほぼ全滅。バカでかいシミ(紙魚とも書く、紙や衣類を食害する昆虫)が段ボールのみならず薄手のビニール袋まで食い破っています。そして、シミを餌にするヤモリがそこらに糞をまき散らしており、大半は見る影も残されていません。しかしながら、特級エタノールの瓶が大量に、完全な状態でみつかったのは嬉しい誤算でした。タンザニアでエタノールを買うと高くつく上に、品質も若干怪しいのです。これでDNAサンプルは万全の状態で日本に持ち帰ることができます。

 他にも、野外調査に重要な機材のうち、重量もしくは価格の問題で今回持ち込みを断念していた機材が多く見つかりました。(おそらく、刺し網と簡易水深測定器は使い勝手が良いからTAFIRIの調査に使われて散逸しているだろう)と予測して、空港で超過重量料金を払って持ち込んでいたのですが、この予測が見事的中。調査に必須かつ現地補充不可能なアイテムをピンポイントで持ち込む形になりました。これなら前回同様の精度で調査が可能では……と期待が高まります。

 午後は、野外調査のアシスタントを務めてくれるベテラン漁師、MhojaとMohamed氏と打ち合わせ。特にMhoja氏は調査アシスタントの大ベテランで、30年以上前からヨーロッパ調査隊のアシスタントを務めており、ビクトリア湖産魚種を英名、スワヒリ語名、スクマ語(ビクトリア湖畔域に多いスクマ族の言語)名のみならず、一部学名すら把握しているという超有能な人材です。一通り挨拶を済ませ、早速調査の打ち合わせ……の前にまずは賃金交渉から。10年前と比べるとタンザニアの物価が著しく上昇しており、どのあたりが適正な賃金なのか見当がつきません。まずは前回の記録から1.5倍くらいの価格を提示。ものすごく顔が渋っています。渋っているというより、ビックリしてる風。慌てて2倍を提案してみましたが表情変わらず……これは価格帯を読み間違えたなと判断し、急ぎMrosso研究員に立ち合いをお願いしました。少し込み入った話になるとスワヒリ語が飛び交うためMrosso氏に訳してもらい、こちらの提案も分かり易いようスワヒリ語に翻訳してもらい……を30分ほど続けたところでお互い状況を把握。Mrosso氏の口添えも貰い、想定よりもはるかに高額だけど調査規模を縮小するほどではない、というラインで合意しました。最後に、冗談交じりに「もう少しだけ安くならない?」と提案してみましたが頑として首を振らず、Mrosso氏も若干困り顔。どうやら、これでもかなりディスカウトされているようです。ちょっと申し訳なく思いながらも「では、これから1か月よろしく!」と握手。明日はボートと船外機の点検です。

2018-01-10 ボート点検、予行演習