2018-01-23 標本観察,レア種再び

 今日は標本整理と次の調査準備のためラボで仕事です。まずは,Lake Malimbe遠征のために使用するゴムボートの状態確認から。長い間倉庫に押し込められていたとの事でゴムが劣化して空気漏れする箇所もあるだろうな……と思っていたのですが,空気漏れどころではありませんでした。何と,ネズミが囓って大穴が。これはラボの機材で修理は難しいという事で,街中に修理に出しました。
 ドライバーを見送って,次は標本整理。ビクトリアシクリッドの分類は成熟オスの体色が重要ですが,同様に重要なキーになるのが歯の形と歯並びです。太く大きい歯がまばらに並ぶのは魚食性,細長く内側に湾曲した小さな歯が並ぶのは貝食性,平べったく先端が二股に分かれた歯がブラシのように密に並ぶのは苔食性……といった風に,歯の形状と食性がリンクしており(例外もままあります),ビクトリアシクリッドを種以上属未満のレベルでグループ分けする時に役立ちます。体色はそっくりなのに歯の形状が違うため別種と判明するケースもままあります。
 ホルマリン固定した魚体標本を取り出して,実体顕微鏡で観察します。標本を照らす光源が無いので,日の明るいうちに廊下に顕微鏡を持ちだし,手すりの上で観察開始。位置的に中腰になるので長時間の観察は割としんどいです。

 夕刻前に,野外調査に出ていたTAFIRI研究員Mlaponi氏のグループが帰ってきました。ねぎらいがてら,採集物を見せて貰うため船着き場へ向かいます。環境調査のため定量的なサンプリングを行なっており,我々のように採集した魚をより分けず取れた魚はすべて記録します。当然状態の悪いシクリッドの山ほど取れますが,シクリッドの分類は非常に難しいので「Haplochormis spp.(ハプロクロミス属の複数種,未同定)」というカテゴリーでひとまとまりにして記録されます。Mlaponi氏から「シクリッド分類の専門家なんでしょ,分けてみてよ」と挑発(?)されたので腕まくりして仕分を試みました。その中で,昨日取れたばかりのレア種Haplochromis microdonらしきシクリッドが6個体も! 「これ,測定終わったら貰っていい?」と聞いたら快く分けて貰えました。お礼にしっかり分類せねば,と奮起し,10種程度を仕分けて報告しました。標本観察は中止して,貰った個体の標本作成作業に入ります。採集ポイントのGPSデータ貰ってなかった……と気付いたのは日が暮れ,ムラポニ隊が帰宅した後の事でした。

2018-01-24 Shadiリベンジ